ジョイボーイ(巨大な王国Dの一族)と世界政府連合軍の対立する思想の本質は「自由」と「支配」にあると考えられます。
思想の対立はおそらく、支配と自由に起因しているでしょう。
一部の人間を奴隷にし、格差を作り、秩序で世界平和を目指す思想が存在します。
一方で、全種族平等で奴隷も格差もないユートピアを目指す思想も存在します。
前者が世界政府であり、後者が「Dの一族」とされます。
結果的にジョイボーイが敗北し、現在のような「支配」の世界が築かれたということになります。
この二つの思想は、現在の世界の縮図とも言えるでしょう。
尾田栄一郎先生が最初に描いた読み切り漫画「ロマンスドーン」に登場する「モーガニア」対「ピースメイン」という対立がこれを象徴していると考えられます。
ピースメインは、モーガニアのような悪い海賊をターゲットにして、彼らを打倒しつつ名を上げる「良い海賊」のことです。
彼らは基本的に自ら略奪を行わず、むしろ正義のために戦う存在とされています。
モーガニアは、無法に略奪を行う悪い海賊を指します。
この名称の由来は実在の海賊ヘンリー・モーガンに関連している可能性があります。
“自由の旗手”であるマリアンヌが、ベガパンクを彷彿とさせるりんご帽子を被って登場していることも示唆的です。
王冠は「支配」を、麦わら帽子は「自由」を象徴していると考えられます。
Dの一族が全員被り物をしているのは、「王冠を被らない(支配しない)」ということの表れだと考えられます。
アニメOPの「あーーっす!」の歌詞「意味のない戦いは無いんだ バラバラの文脈が意思を持ち繋がれば時の糸が紡ぎ直される」は、尾田先生が考えたレベルでDの意思とポーネグリフを表現していると考えられます。
『ワンピース』は第1巻から一貫して支配と解放を描いております。
コビーは間違って乗ったアルビダの海賊船で奴隷のように扱われ、モーガンは海軍支部で権力を乱用して島民を支配しておりました。
どちらもルフィによって自由がもたらされたのです。
ジョイボーイは、もっと自由に生きようという革命を起こしたのではないでしょうか。
その思想が巨大な王国に浸透しすぎ、連合国に危険視され付け込まれる隙を生んだと考えられます。
五老星が知られたくないことを考えると、ベガパンクの言う「理想」同士の対立による戦争であり、片方が正義で片方が悪とは結論付けられないということでしょう。
五老星たち自身が「支配される側」であった時期があり、それが知られると支配の根幹が崩れるため、避けたいのではないでしょうか。
かつての悪行は、自分たちが受けた仕打ちの再現である可能性があります。
トンタッタ族を奴隷化していたのは20の王の一つであるが、それは約900年前のドンキホーテ王朝とトンタッタ族の話です。
20の国の王は、最初から王ではなかったかもしれず、数百年から数千年かけて規模が大きくなった可能性があります。
五老星は、身分差別や世界を海に沈めることも歴史が決めたことであり、イムの意思を忠実に実行してだけではないでしょうか。
五老星が知られたくないことは、思想の他に世界を海に沈めた方法であるかもしれません。
幕末のように、正義も悪もなく、勝てば官軍という考えがあり、多くの国民にとってはどうでもよいことかもしれません。
世界政府を絶対悪として描くのは難しいかもしれません。
革命には犠牲が必要であり、例えば長州藩が京都御所に発砲し敗走した後も革命の中心となったように、ジョイボーイも何らかの犠牲を払ったのだろうと考えられます。
現在の世界は支配されているのかという疑問もあります。
実際にイーストブルーは平和に暮らしているように見えます。
ただし真実を知らされていないという支配を受けているという見方をすることもできます。
ジョイボーイ軍と20の王国軍の対立は、様々な勢力を巻き込んでいたと考えられます。
ジョイボーイの出身がロストテクノロジーの国なら、ウラヌスを持っていた可能性があります。
ズニーシャがジョイボーイに謝っているのを見るとジョイボーイは裏切りで敗北したのかもしれません。
裏切ったのはDであるロックスの一族であると考えられます。
結果的にジョイボーイは敗北しましたがマザーフレイムの精製場所を破壊し古代兵器を使用できなくしたのでしょう。
ルフィの長所は、周囲を巻き込んで味方にすることであり、それによってジョイボーイが成し得なかったことを成し遂げる物語なのかもしれません。
五老星の勝った者が正義であるという考えは、ジョイボーイとの戦争から生まれたのだろうと考えられます。
コメント