キングダム811話「刃の意味」では、李信への襲撃事件と、それに関わる人物たちの複雑な感情が描かれています。
温形の復讐、李信の対応、そして羌瘣や我呂といった周囲の人物たちの反応を通して、秦の目指す統一とは何か、改めて考えさせられる一話となっています。
キングダム811話:李信の苦悩と温形の復讐
前回、李信が南陽の民の温形に襲撃される事件が起きました。
飛信隊の隊長、将軍として李信が取った行動とは一体?
温形の復讐と李信の対応
李信は、温形から放たれた刃を受け止めます。
温形の行動に激怒した田永は、短刀を捨てるよう温形に詰め寄りますが、李信は部下たちに制止を命じます。
李信は温形の覚悟を見抜いていました。
この状況で李信を狙うということは、温形自身だけでなく、周囲の人間も巻き込む大事件になることを理解していたのです。
温形は、秦兵によって娘と孫(12歳)を何度も凌辱され殺されたという、20年前の悲劇を抱えていました。
南陽の民は既に過去のこととしていますが、温形にとっては昨日のことのように鮮明に記憶されており、毎晩夢にまで見ているのです。
田永は温形に同情を示しつつも、犯行が飛信隊ではないことを理由に短刀を捨てるよう促しますが、李信は「じーさんは何も間違っていない」と、温形の行動を肯定します。
李信は、人の痛みの消え方は人それぞれであり、それを我慢しろと強制するのは乱暴であり、できる人間もいればできない人間もいることを理解しているのです。
温形の痛みは温形だけのものだと、李信は静かに諭します。
我呂の懸念と李信の理想
我呂は、李信の対応が甘いと指摘します。
もし温形の標的が李信ではなく尾平だったら、尾平は死んでいたかもしれません。
また、飛信隊の兵士が南陽の民に殺されていたなら、取り返しのつかない事態になっていたでしょう。
しかし李信は、「気をつけるしかねェ」と答えます。
彼は武力で制圧することが支配ではないと考えています。
秦が目指す中華統一は、全土を支配することが目的ではなく、温形のような悲劇を生まない世界を築くことにあるのです。
秦人、韓人という区別ではなく、秦出身、韓出身という違いを超えて、痛みも喜びも共有し、共に生きられる世界。
それが秦王の目指す理想です。
李信の決断
その理想を実現するためには、中華全土の民は困難な課題を乗り越える必要があると李信は考えます。
兵士は戦場以外では相手を思いやり、痛みを抱えた者たちは怒りや怨みを抱えたまま前へ進む必要があるのです。
そしてそれは、兵士よりもはるかに難しいことだと李信は認識しています。
だからこそ、李信は温形の刃を無理やり奪うことをしません。
温形が痛みを抱えたまま前へ進めるようになるまで待つ、何度でも差しに来ていいと李信は告げます。
「その二人は頑張って前に進めと応援してる」と、温形を励まします。
温形は大粒の涙を流して号泣します。
羌瘣の意見
その後、李信襲撃事件は大きな騒ぎにならず、この事件がきっかけで南陽の民と飛信隊の距離は少し近づきました。
一人で悩む李信のもとに羌瘣が訪れます。
我呂の言葉通り、自分が甘かったのではないかと悩んでいた李信に、羌瘣もまた「甘い」と言います。
もし尾平が殺されていたら、事態は収拾不可能になっていたでしょう。
しかし、李信の言葉がなければ、住民たちの心に響くことはなかったでしょう。
羌瘣は武力統一すれば、同じような事件が全土で起こることを危惧しています。
騰将軍が南陽を理想郷として見本としたかったのもそのためです。
羌瘣は、この問題は李信の頭で解決できるならとっくの昔に解決しているはずだと指摘します。
真剣に悩まず、王に任せておけばいいと、李信にアドバイスします。
「あの夜のことはあれよかったと思うよ、信」と、最後に付け加えます。
自然と名前を呼ばれ、李信は思わず羌瘣を見つめてしまう。
新たな新兵の登場と李信の決意
キングダム811話は、李信の揺らぐ心と、その決意の再確認、そして新たな新兵の登場という、複数の要素が絡み合う展開になっています。
練兵と新たな新兵:邪毛族、俔馬族、凡冥
李信は練兵に向かいます。
そこで、新たな未知の一族が登場します。
長身の邪毛族、馬と会話し自在に操る俔馬族、そして戦闘狂の凡冥です。
凡冥は李信に直接、手合わせを挑んできます。
王都新鄭に向けた決意
李信は、南陽も大切だが、一番大切なのは飛信隊が死ぬことなく勝利することだと改めて自覚します。
次の王都新鄭は国の存亡をかけた戦いであり、これまでとは比べ物にならないほど熾烈な戦いとなるでしょう。
気合が入りすぎた李信は、凡冥たちを圧倒的な力で打ち破ります。
河了貂の新たな軍編成
河了貂は、新たな軍編成を発表します。
これは、王都新鄭での戦いに備えた、戦略的な布石と言えるでしょう。
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